前代未聞!「規制基準」の条例記載を目指す橋下知事
大阪府が今年4月から実施していた「青少年を性的対象として扱う図書類の実態調査」の調査結果が公表された。
http://www.pref.osaka.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=4303
現在、公表されているのは調査結果の概要のみ。そこで、早速気になる点を大阪府青少年課に問い合わせてみた。
まず気になるのは、大阪府発で全国への波及が危惧されているBL関連のことだ。調査対象の図書類100冊には当然、BLも含まれているのか?
「BL図書は1冊だけ。今回の調査にあたってはマガジンデーターなどを参考にして、特定の出版社や図書に片寄らないようにしました」(大阪府のカワバタさん。以下同じ)
こうして行われた今回の調査だが、気になる点は幾つもある。その一つは平成21年度の「社会環境実態調査結果」よりも条例に則して区分陳列している書店の割合が10%近く減っていることだ。この原因はなんなのか?
「今回の調査では、コンビニチェーンは同様の陳列を行っていると考えられるため各チェーンごとに1店舗ずつ抽出しました。その結果、割合では数値が変化したんです」
なるほど、単に調査する数の結果であり実態はあまり変化が見られないそうだ。同様に、有害図書類を取り扱っている店舗の数も、近年の調査でゃ平成19年に3091店舗、平成21年に3049店舗とほとんど、変化が見られない。
さて、核心に移ろう。概要報告では「視点」として「原稿の有害図書類指定制度に該当しない図書類の新たな規制の必要性」と記している。「新たな規制」とはなにか、非常に気になるところだ。
「まだ青少年課で具体的な条例案を作成してはいません。これから、青少年問題協議会にかけさせて頂いて、基本的にはそこでどういう規制がいいのか根本から見て頂こうと思っている。昨日、記者レクもさせて頂いたのですが、現実的には東京都がやろうとしているような、青少年を性的対象にした図書類とか、その中でも強姦とか近親姦を描いているようなものについては、我々も東京都に問い合わせしたりしまして、基本的には、大阪府の現行の条例の中で既に指定していたり、個別指定が可能だということが明らかになった。ですので、東京都のように非実在青少年とか新たな概念をつくるかというと、基本的は現行条例の枠内で十分対応が可能だった(と、明らかになった)」
つまり、東京都のような新たな規制の概念を生み出す意図はない様子。だが、続けて話したのは少々驚くような内容だ。
「橋下知事からの問題提起なんですけど、我々の指定基準が規則で定められているということで、これは議会の議決がいらない。なので、行政が勝手に規則を付け加えることができ問題ではないかという話があった。いわゆる、表現の自由の直接の制限ではないけど、密接に関連している分野なので議会の審議が必要であろう。ということで、今指示を受けているのは指定基準の規則を条例に明文化する形で条例改正をしなさいというものです」
橋下知事が求めているのは、多くの自治体の健全育成条例で「青少年の健全育成を阻害する云々」と記載されている部分を、指定基準で示されているような具体的なものに書き換えること。もちろん、そんな
条例は、これまで見たことがない。
「いろんな自治体に聞いてみたんですけど、ほとんどというか全部の条例が(健全な育成を阻害する云々と書いた上で)”規則で定めるもの”でした」
とすると、社会情勢の変化によって指定基準が変化したとすれば、その度に条例を改定して対応するということなのか?
「当然、変えていかなければならないとなったら、条例改正のプロセスが必要。そこでまた議論してもらおう、というのが知事の思いでしょうね」
□「ジュニアアイドル誌」は児童虐待?
続いて聞いたのは「ジュニアアイドル誌」に関する項目だ。まず、
聞いてみたのは「ジュニアアイドル誌」とは、具体的にどのようなものだと考えているかという点。
「U-15と記載しているように15歳未満が水着とかで出ているようなものです。一般的には、制服で出ているようなものも含めてジュニアアイドル誌としていわれているようですが、そういうようなもの。我々としては制服を着ているものまで規制するのはちょっと…と思います。ただ、そこで書いているように、水着とか下着でポーズをとっているようなものは、どうなんだろうと。ですので、実態を把握しなければならないと考えています」
概要では、モデル起用の実態把握についても記されているが、関係者へのヒアリングも行ったそうだが、そこまで詳しい人はいなかったという。
「表現の自由とかじゃなく、これ(U-15)は、年少の子だと大人が色々と指導することがあるんじゃないかと思っています。我々は子供を守るという観点から、どうなんだろうということを把握したいと思っています。(U-15の問題に)知っていたら教えて下さい」
つまり、「ジュニアアイドル誌」に関する大阪府の問題意識は、児童虐待の可能性があるという点。概要にも記載されているとおり、青少年に有害性があるとは考えていないそうだ。
「性表現があったら、児童ポルノになってしまいますから。有害図書としてどうなんでは? という論点ではないと思います。(児童虐待に関して)立法化するかはまだ考えていません。モデルになったりポーズを取る時点で虐待に近いものがあるのかどうか、そのあたりから議論を深めていかなければならないと思います」
□「推奨携帯」の実効性は疑問
続いて聞いたのは、ネットに関する問題。概要で、大阪府はフィルタリングの有効性を記している。東京都では「推奨携帯」なる言葉なども飛び出している、この議論だが大阪府はどのように考えているのだろうか。
「東京都は、理由書プラス推奨携帯というのをやっておられるけど、どうなんでしょう。推奨携帯をやることで、どこまで実効性が高まるのか? これは、今後検討ですね」
ここで気になるのは、現状様々な事業者が未成年などの利用者に対して犯罪被害を避けるために様々な取り組みを行っているにもかかわらず、取り組みが不十分とされている点だ。
「いろいろ問題が出ているのは新聞にも出ていますし、取り組んでいかなければと思います」
と、話す大阪府の担当者だが、ネットに関する調査は極めて不足していることも、今回の取材で明らかになった。というのは、ここでなぜか検討材料として兵庫県や石川県の条例を記載。また、インターネット上の児童ポルノについても、ホットラインセンターや大阪府警に話を聞いただけで、具体的に問題点を探すとか児童ポルノそのものを見つける作業を行っていないからだ。
後述するが、今回の調査の過程で出版業界とは話し合いを持っているのにインターネット関連の事業者とは話し合いを持っていないからだ。なにしろ、担当者は「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)」の存在も把握していなかった。
ただ、ネットに関しての実態把握の不足は認めているし、筆者がEMAについて説明したところ、非常に関心を示していた。今後、よい方向に調査が進むことを願って止まない。
このように、不十分な点も見られる大阪府の調査。だが、調査は結論ありきで進んだわけではなく多岐に渡って話を聞くことは行われたようだ。その中で行われた雑誌協会についても聞いてみた。
「そもそもの問題のありかを把握する必要があると考え雑誌協会などに、お話を聞かせてもらえないかとお願いしたところ“規制ありきでなければ”と受けて頂けました。東京都は業界団体と自主規制をしてきていたわけで、東京都の指定制度と自主規制の表示とは車の両輪でやってきたという話もしていただけたし、取次などでの規制も説明していただいて、真摯にされているという印象を受けました。我々も、逆に勉強させて頂いた感じですね」
説明の中で幾度か「なにがなんでも規制をする気ではない」と繰り返した大阪府。東京都との大きな違いは、なによりも業界の自主規制を
あまり把握していない点。そして、話し合いの席を持っていない点であった。担当者の言葉を信じれば、前向きに話し合いを行うのは、やぶさかではない様子。奇妙な条例案をつくって迷走するような愚を避けるよう、十分に考えて貰いたいところだ。
……と、電話取材を終えたのが午前中。
午後、郵便受けを除いたら、大阪府情報公開審査会から新たな書類が届いていたのだが、この話はまた明日以降に。
(文責・昼間たかし)
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